ぼくにとって、鑑賞回数の一番多い映画はおそらく「アンダルシアの犬」だと思う。一時期、映画青年の主宰する映画研究会などを見つけると、足しげく通ったものだ。それらは、公民館や大学の一室での上映会なのだが、記憶に残るのはどれもこれも古びた建物だった。クーラーの普及していない昔の事だ。開け放した窓からの風が、黒い遮光カーテンを揺らせて一瞬差し込む夏の光が、部屋に充満するタバコの紫煙で光の帯になって、無言の若い鑑賞者たちを照らし出す。16ミリ映写機のカタカタと鳴る音と汗とほこりに匂い・・・。これがぼくの「アンダルシアの犬」のイメージだ。
今、ぼくは Intel iMac 20インチ画面に、QuickTime Player 7.0.4 を使って「アンダルシアの犬」を映している。