旅たちの絵本 バーバラ・クーニー/Hattie and the Wild Waves(おおきななみ)

バーバラ・クーニーが自身の母親をモデルにした描いた絵本。クーニーはドイツ系移民の3代目で、母親はニューヨークで生まれ育った。クーニーの祖父はドイツからアメリカに移住し、材木商として成功する。そんな裕福な家庭で成長する母親 Hattie の少女時代から若い女性に成長するまでをニューヨークの変遷とともに描いている。
実業家の父やピアノを弾く母のこと、そして姉と兄や使用人との暮らし。ドイツから移民してきた一族の集い。ファーロッカウェイにある海辺の家で過ごす夏(表紙の絵)。

そして、ロングアイランドでの大きな屋敷での生活。それからブルックリンでの父の建てたホテル住まい。若い女性に成長したハーティはオペラ劇場で若い女性歌手の唄を聞きながら、自分が絵を描くときがきたことを知る。

翌日、彼女は雪のちらつく悪天候のファーロッカウェイの海岸を一人歩いている。荒れる波は Hattie の決意する心を表現していて、バーバラ・クーニーの数多い絵の中でも、ぼくが最も好きなシーンだ。少女時代を過ごした夏のファーロッカウェイと様相を一変する、同じ海岸を歩む若い女性。この対比がすごい。

日本語版は「おおきな なみ」掛川恭子訳
1991年 ほるぷ出版 発行

Hattie and the Wild Waves
A Story from Brooklyn
by Barbara Cooney
Copyright (c) Barbara Cooney, 1990

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カテゴリー: 絵本