一億百万光年先に住むウサギ / 那須田淳著のヤングアダルト文学を読んだ

日本のヤングアダルト文学というのをほとんど読んだ事がない。だからこの著者の作品も本書が初めて。一応、ストーリーに惹かれて最後まで読み通したが、あまりぼくの好みではなかった。タイトルとブックカバーのウサギの絵から、SFだと思って手にしたら、全く違っていた。湘南を舞台に、いがみ合って、口もきかない関係だった男女の中学生二人に恋が芽生えるストーリーだ。この二人がどこまでいくのか、気になって読んでしまったので、好みではないと言いながら、ハマっていたのかもしれない。

背景に彼らの親の世代の青春が見え隠れしている。だから、今では死語だとぼくは思っている「ジャズ喫茶」なんかが重要なモチーフになっている。昔、ジャズ喫茶に入り浸っていた者として、ジャズ喫茶を今に生かす感覚がなんともおもはゆい。ま、ぼくはドリス・デーをほとんど聞かなかったし、作者のジャズ喫茶への想いとぼくの想いは違うのだろう。クラブミュージックやヒップホップの時代に、どーして中学生がドリスやSPレコードに関心をよせるのだろうか・・・。この感覚が共感できなかった。

《2007.6.8 追記》
上記の感想文は違和感を抑えて書いている。読後から時間が経つほどにその違和感が膨らんでいる。主人公を取り巻く人々(大人たち)の過剰な優しさに違和感を覚えている。こども達はこんなにも温室のような世界で育っているのか、子どもたちの環境に無知なぼくにはおどろきだ。本書の後、何冊かの外国のヤングアダルト小説を読んでいるが、本書の優しさがとても気になった。

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カテゴリー: 読書