バーニンガムの多くの絵本を見た目に、本書はちょっと違うように見える。すごい大胆なタッチ、暗い色調。ストーリーも少し暗い。バーニンガムお得意の動物たちも、ここではネズミがメイン。その若いネズミ、トラブロフが主人公の物語。トラブロフは酒場に住みついている一家の子どもで、ギターのようなロシアの楽器、バラライカを旅回りのジプシーから習う。そして、そのジプシーに付いて旅に出てしまう。
物語の舞台は中部ヨーロッパの雪深い所となっている。厳しい季節の中の旅ジプシー楽団がとても大胆なタッチで描かれている。バーニンガムの中では印象的な絵になっている。バイオグラフィを見ると、この作品は3作目。初期の作品だ。
バラライカねずみのトラブロフ
作 ジョン・バーニンガム (c) 1964 by John Burningham
訳 瀬田貞二
発行 童話館出版、1998年3月