《(1)から続く》
1987年に初めてのマック、MacPlusを買ったときにワープロソフトの EGWord を買っている。91年に次のマック、SE30を買ったときには PageMaker を買っているので、EGWord はそれほど使った記憶がない。でも、EGWord に同梱されていた日本語入力プログラム EGBridge は長いこと使っていたので、いまだにエルゴソフト社の名前はよく覚えている。その EGWord のサイトで機能を見て驚いた。高度な文字組版機能とグラフィック機能を備えた、完全なページレイアウトソフトになっている。どうやら、ワープロソフトというのは、いまではページレイアウトソフトの機能を持ったものをいうらしい。そうなら、Word も、Pages も今では普通のワープロソフトということになる。ぼくの認識が間違っていたようだ。と、いうかワープロソフトが肥大化するスピードが早すぎるのだと思う。
DTP の頃から今のWeb制作でも、いろいろな会社や人から原稿や資料を Word ファイルでもらうことが多い。テキストだけでも Word なので、多くの人が Word などのワープロソフトをメインにして文字入力なども行っているに違いない。ワープロソフトには種々の辞典が完備しているので、文章だけでもワープロソフトの出番となるのかもしれないが、そこに高度なグラフィック機能もついていることに違和感を抱いてしまう。
この間、Word を勉強していたが、機能が多すぎてちょっと、うっとうしくなってきた。懸命になって習得した Quark XPress や PageMaker も今となっては、もう必要のないソフトだ。どうせ覚えるなら、機能の少ない方がいいと思って、Pages の勉強に切り替えたら、こちらの方がいいみたいだ。1年前のインテルiMac購入の際に PageMaker の変わりにと期待して買っていたものを、今になって引っ張り出してきた。Pages は AppleWorks の後継商品らしい。AppleWorks はワープロや表計算、ドローなどのソフトがセットになっていた。それらを Pages に一本化したのだろう。
こうして書いているのは、長くMacを使ってきたが、お金の取れる作業時間より、ソフトの習得にかかった時間の方がはるかに長い気がして、これっていいのかなーって感じているからなんだ。これじゃー、ワーキング・プアーな状態も無理はないよ。
以下は『アップル・コンフィデンシャル 2.5J 下』(オーウェン・W・リンツメイヤー+林信行著)からの引用。
「アプリケーション指向というパラダイムが抱える最大の問題は、アプリケーションの肥大化だ。ワープロや表計算ソフト、プレゼンテーションソフト、データベースソフト、画像処理ソフトなどの基礎はすべて1980年代に築かれており、1990年代はそれぞれの分野でさまざまなソフトウェアーメーカーが機能競争を行っていた。
(中略)
1990年代中頃までには、わずか数社が発売する、機能的に肥大化したアプリケーションが市場を支配するようになった。
この事実は、さらにいくつかの深刻な問題を引き起こしていた。1つは、あまりに機能が多すぎてユーザーが本当に使いたい機能がどこにあるのか分からなくなってしまうという問題だ。アプリケーションというのは、言ってみれば開発者の便宜で選んだ機能の寄せ集めだ。寄せ集める機能は、ユーザーからも要望に耳を傾けた選ばれることもあれば、競合製品を見て選ばれることもある。単なる思いつき、ということもあるかもしれない。ユーザーが不要と思った機能があっても、取り外すわけにはいかない。アプリケーションとは、モノリシッック(一枚岩)な存在なのだ。」(p59-60)
ぼくの場合、まさにアプリケーションの変遷とリアルタイムにつき合ってきたんだということが分かる・・・、ショッキングな記述だよ。
《おわり》