1960年フランス映画。今は、フランスのヌーヴェルヴァーグ映画に興味を持っているので、つまらなかったけど最後まで見た。クロード・シャブロル監督は『いとこ同士』が有名だが、ぼくはまだ見ていない。この『気のいい女たち』は全く知らなかった作品ということで興味を持った。撮影がアンリ・ドカエというのも気になる。
で、これは本当にヌーヴェルヴァーグなんだろうか。そんなところから疑問に思った。単にヌーヴェルヴァーグ風に作られた映画ではないだろうか。ちょっと感覚的に古いところがある。ヌーヴェルヴァーグ作品と言うには無理があると思う。それに、ゴダールにせよ、ルイ・マル、トリフォーなどのヌーヴェルヴァーグ作品には気品がある。その気品がこの『気のいい女たち』にはない。と、ここまで書いて気づいたけど、ここに挙げた監督たちは、本作のように労働者階級の女たちを取り上げたことはあったかな? 記憶にない。みんな、特別な家柄の女だったり、超インテリだったり、超感覚的な女ばかりで、この映画のような、パリの電気製品の小売店の女店員、しかもインテリでない女性なんて取り上げていなかった。
ひょっとしたらシャブロル監督の目の付けどころは良かったのかもしれないが、それが作品の完成度に結びついていない。ビンボーな若くて気のいいだけの娘たちが男たちに翻弄される・・・後味の悪い映画だった。瞬間的にドキッとする映像美を楽しんだ。アンリ・ドカエのカメラだ。