横尾忠則の版画「ピカビア―その愛と誠実―」を見る

1180085297近所で横尾忠則の版画が見られるというので、シェ・ドゥーヴル(大阪西区阿波座1丁目)というカフェを地図を頼りに探して行って来た。数週間前に知ったのに、まだ間があると思っていたら、明日が最終日。雨が降っているけど、行ってきた。

西区阿波座というのは工具関係と木材問屋が密集していた地域。かつては木造平屋の古い家屋をそのまま使っている小さな問屋さんが多かった。今でも、ないことはないが、多くはマンションなどになっている。シェ・ドゥーヴルも、たぶんそんな問屋さんの跡を改造したものだと思う。道路に面した間口はそれほど広くないが、奥行きがたっぷりと取られている。

入り口を入るとカフェスペースで、その奥が仕切られていて、白い壁に囲まれたギャラリースペースになっている。そこに、大きな「ピカビア―その愛と誠実―」3部作が置かれていた。見に来る人もなく、一人でたっぷりと時間をかけて鑑賞した。

横尾忠則氏にとって、ダダの作家の中で最も重要な存在であるというフランシス・ピカビア。彼に対する共感と、オマージュの気持ちを込めてピカビアの作品を引用しながら制作した3部作です。
Francis Picabia:1879-1953・パリ生まれ 画家

とフライヤーにあった。

カフェはゆったりとしていて、パリの古いカフェを意識した作り。天井はきれいにペンキは塗られているものの、木造の梁などが露出し、電気配線の碍子もむき出しなのがとても感じがいい。雨脚が激しくなると屋根に叩きつける雨音が直に伝わってくる。その雨音にかき消されるようにシャンソンが静かに流れている。飲み物を頼んで、街中で味合う贅沢な時間を楽しんだ。雨の日でよかった。