ふたり――ミーナ、中国へ / アンナ・ヘグルンドの絵本「ふたり」シリーズの3

アンナ・ヘグルンドの『ふたり』シリーズの3作目。シリーズ中、これが一番いい。そして、絵本の中の最高の傑作の一つだと思っている。

ミーナは雨の続くある日のこと、ふと手にした中国の本に魅せられる。その夜、中国の寺院の庭を浮かぶように歩いている夢を見る。翌朝、じっとしていられなくなり、コーゲに中国へ旅立つと宣言して驚かせる。コーゲもミーナの目を見て、止めることをあきらめて荷造りを手伝う。ミーナはバタバタと中国へ向かう飛行機の人となった。

クマのミーナは中国へ着いたものの、ひしめき合う自動車で溢れる道路や、行き交うパンダたちにとまどうばかり。地図を頼りに探し当てたホテルで、部屋に入ったとたん、いつもなじんだ物のない現実に直面し、後悔の心がどっと押し寄せて来る。翌日、街を歩くものの、大勢のパンダの中で、異邦人であることを嫌というほどに味わい、強い孤独感に襲われる。自分を見失った喪失感を見事に表現している。

眠られぬ夜を過ごして、翌朝早く外に出て公園に向かう。朝霧の木々の間のそこかしこで、パンダたちが歩きながら気を集めている。そこで、外国語を話す老バンダと出会い、彼にお茶をごちそうになりながら、お話を聞く。毎朝、公園で老パンダと会うようになるが、ある朝、彼はミーナを仏教寺院へ案内する。

お寺の境内に足を踏み入れたとたんにミーナは柔らかい空気を感じる。そして、中国へたつ前にみた夢の中の自分と同じであることを実感して、涙する。ああ、これで家に帰れます。ミーナは老パンダにお礼を言って別れ、コーゲの待つ家に帰る。ミーナは中国のお話をいっぱいしたいのに、コーゲったら、スーパーマーケットの特価でコーヒーが安かったとか・・・。ま、いいか・・・とミーナはコーゲと抱擁する。

自分を見失う喪失感とか癒しの東洋文化とか、ムチャクチャに見事に表現した絵本の大傑作だと思ってる。

ふたり――ミーナ、中国へ
作 アンナ・ヘグルンド
訳 菱木晃子
発行 ほるぷ出版、2002年1月

投稿日:
カテゴリー: 絵本