かきねのむこうはアフリカ / アンナ・ヘグルンドのほのぼのタッチが胸を打つ

かきねのむこうはアフリカ (ほるぷ海外秀作絵本)ベルギーの作家、バルト・ムイヤールトのお話にスェーデンの絵本作家の絵。隣人とのふれあいを温かくユーモラスに描いた絵本。ぼくのとても好きな絵本。主人公の少年は両親と3人暮らし。お隣さんの旦那さんはフランス人らしくて、いつも出張で家をあけている。奥さんは、アフリカのどこかの国のひとらしい。4人の子どもがいる。

棟続きの集合住宅で、家の裏には同じ大きさの庭が並んでいる。庭の真ん中には、木製の物置小屋があり、空いているスペースに、みんなは菜園を作っている。ただ、1軒お隣さんだけは、草ぼうぼうにしてる。天気の良い日、庭に椅子を持ち出して、奥さんは子どもと一緒に草の上でなにをするでもなく過ごしている。いや、雨の日も奥さんは外にいるようになった。

ある日、奥さんは雨の中、小屋を壊し始める。そして翌日は、園芸店の袋入りの粘土を何袋もぶちまけた。そこへ、バケツで水をほうりこんで、子どもたちは大喜びでどろんこ遊び。そんなお隣さんが、少年は気になって、いつも様子を伺っている。

ある日、母親の買い物のにつき合った少年は突然の雨に濡れて帰ってくる。熱いお茶を入れると、お隣さんはが雨の中、小屋の土台作りをしている。唄を歌ったり、とても楽しそう。母親が少年に熱いお茶を持っていきなさい、と言い。少年は庭の作越しに奥さんにお茶をどうぞ、となる。

何日もかけて、とうとう泥の小屋が完成する。奥さんが少年に、垣根をこえて入ってきて、と言う。小屋の中には、少年のためにお茶が用意されていた。

お話もいいけど、アンナ・ヘグルンドの絵がたとえようもなくいい。緻密な絵ではない素朴なタッチだけれど、表情がキチンと表現だれていたり、それはそれはとてもいい絵本だ。

かきねのむこうはアフリカ
文 バルト・ムイヤールト
絵 アンナ・ヘグルンド
訳 佐伯愛子
発行 ほるぷ出版、2001年8月

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カテゴリー: 絵本