ふたつめのほんと / パトリシア・マクラクラン作のチェロを習う少女が主人公の児童書

チェロのレッスンを受けている11歳の女の子ミナーが主人公。母親は小説家で、料理も掃除もにがて。家の中はいつも片付いてなくて、ゴミがちらかってる。ミナーはそんな家の中を気にしてるけど、開業医をしている父親は、全然気にしてない。両親はとても仲がいい。1歳下の弟がいてマグレーという。ミナーは弟が大好きだ。弟のガールフレンドのエミリーも家に出入りしている。彼女がピアスの穴をあけたんで、ミナーはエミリーの耳たぶは自分のよりも大人になったとねたましく思いながらも、二人の仲を微笑ましく見ている。ミナーはピアスの穴も開けてないし、ソックスも左右違うのをはいたりする余りおしゃれを気にしない女の子。でも、室内楽教室のカルテットに新しく入って来たビオラのルーカスに一目惚れしてしまう。

先週、『マンハッタン物語』という天才音楽少年のすごく面白い小説を読んだせいで、音楽の出てくる物語を読みたくて探したら本書に出会った。こっちの方は、天才少女じゃない。レッスンといってもお稽古事という感じ。弦楽四重奏団のコンクールのコンサートに出るまでの物語。

ミナーは小説の始めから終わりまで、ビブラートが出来ずに悩み続けている。楽器をやったことのないぼくにはそれが何を意味するのか分からない。でも、ビブラートができたことが、ルーカスとの仲が恋に変わるという粋な結末が待っている。

本書は音楽小説というよりも、少女を取り巻く人間関係を爽やかに描いたもの。強い個性を持った母親もどちらかといえばコミカルに、そして理解ある大人として描かれてるし、全体に優しさに溢れ、温かい読後感にひたれる小説。『のっぽのサラ』が有名なマクラクランらしい作品。

ふたつめのほんと
原題 The Facts and Fictions of Minna Pratt
著者 パトリシア・マクラクラン(Copyright 1988 by Patricia MacLachlan)
訳 夏目道子
発行 福武書店、1992年3月

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カテゴリー: 読書