少年が母親から買い物を頼まれる。買い物リストを口述されて、さあ出発。ショッピングをして、お店を出ると、クマが待っている。タマゴをくれ、と言う。少し歩くと、サルが待っている。こうして、少年の前に次々と動物が待っていて、ショッピング・バスケットの中の買い物を要求される。バーニンガム独特のリズミカルにストーリーが進行する絵本。ぼくは、この絵本での動物がかなり好きだ。一画面にゴチャゴチャと何匹もの動物が出てくるんじゃなくて、必ず少年と動物が同じ背丈で対峙している。そこがとてもいい。なかでも、ブタが一番好きだ。
最近になって初めて、バーニンガムの初期の絵本、『バラライカねずみのトラブロフ』と『はたらくうまの ハンバード』を読んだが、そのせいで増々ジョン・バーニンガムへの興味が大きくなっている。バーニンガムの絵本全体から感じる、はかなげな存在感が初期作品では濃厚であったこと。そして、この『ショッピング・バスケット』のように全く乾いた作品もある。乾きと適度な湿度感が混じり合うのがバーニンガムの世界だと思う。
『ショッピング・バスケット』は青山南氏の翻訳だが、この日本語もまた、とても乾いている。バーニンガムの絵本は、氏と並んで谷川俊太郎氏の翻訳も多い。谷川氏のはまったりとした感じする。どちらかというと、ぼくは青山氏の言葉の方が好きだ。
ショッピング・バスケット
作 ジョン・バーニンガム((c) 1980 by John Buriningham)
訳 青山南
原題 The Shopping Basket
発行 ほるぷ出版、1993年12月