部屋の中で、少年が蒸気機関車のおもちゃ遊びをしている。母さんが、さっさと寝なさい、と言う。イヌのパジャマ入れを抱いて寝入った少年は、夢の中で蒸気機関車を運転している。横ではイヌがスコップを使って蒸気釜に石炭をくべている。イヌは仕事に誇りを持っている風な、かいがいしい働きっぷりだ。ここからは、バーニンガムの絵本のお約束ごとの世界に入っていく。動物が一匹づつ現れては「きみの きしゃに ぼくもいっしょに のせてってよ。」って言われて乗客が増えていく。これで終わらないのがバーニンガム。最後はちゃんと笑わせてくれる。絵にも力が入っているし、バーニンガムの傑作のひとつだと思う。
この絵本の汽車が遠のいていく裏表紙が好き。最後尾の展望車には、ゾウとアザラシの並んで立っている。バーニンガムの絵は乾いてるのが多いけど、ちょっと感傷的なこの裏表紙の絵に惹かれる。で、表紙の絵をしげしげと眺めていたんだ。表紙は客車を引っ張る蒸気機関車がこちらに向かってくる、とても力強い絵なんだ。
・・・そしたら、突然思い出したんだ。弁慶号って。で、「蒸気機関車 弁慶号」って検索したら、鉄道博物館のページに飛んだ。驚くよね。このページに「7100形式 7101号機弁慶号蒸気機関車」の写真があるんだけど、この絵本の絵と同じタイプの機関車なんだ。バーニンガムは適当に機関車を描いたんじゃなくて、鉄道博物館でスケッチするとか、模型を見て7100形式の機関車を描いたことが分かった。ぼくは鉄道ファンじゃない。幼い時の記憶がよみがえったんだ・・・