スェーデンの人気絵本作家アンナ・ヘグルンドの3部作『ふたり』の第1作目。可愛いクマのカップルが表紙の絵本だが、たぶん著者は読者に子どもを想定していないと思う。内容は、若い二人の生活で生じる、男女間の微妙なズレを描いているので、例外はあるだろうが、子どもには分からないはず。
ミーナという女のこ、とコーゲという男のこが主人公。二人は小さな家でラブラブの生活を送っているが、突然、コーゲが旅に出かけてしまう。ミーナは連れてってというが、旅は男にしかできないみたいな、ムチャ封建的な男で驚く・・・。
で、ミーナの寂しい気持ちがえんえんと描かれる。コーゲから手紙が届いて気を取り直すミーナ。ついに帰ってきたコーゲ。嬉しくミーナだが、怒りを爆発させるミーナ。少しずつ怒りの静まるミーナ。
こんな気持ちの起伏の微妙な変化をユーモアのあるタッチで、繊細に描いている。すごいな~と思う。で、すっかり機嫌を直したある日、ミーナの一言で、コーゲが飛び上がらんばかりにびっくりする。読者はおもわず、にやりとしてしまう。
ちょっと小型のおしゃれなサイズのおしゃれな絵本。
ふたり――2ひきのくまの物語
作 アンナ・ヘグルンド
訳 菱木晃子
発行 ほるぷ出版、1996年12月