2004年アメリカ映画。昨夜テレビモニターで見たが、長い映画だ。169分。軽い娯楽映画のノリで見始めたが、ちょっと重い作品だった。ハワード・ヒューズの伝記映画だ。名前ぐらいは知っているが、ほとんど知らない人物で、アメリカの歴史の勉強にもなった。ファーストシーンは少年時代のエピソードだが、ここでオーソン・ウェルズの『市民ケーン』を思わせる。場面はすぐに18歳のヒューズ青年の映画『ヘルス・エンジェルス』の撮影現場に変わる。映画界での成功。そして航空機の設計、製造。航空会社TWA(後の Trans World Airlines)の買収。
映画制作者、映画ビジネス、飛行機の設計、製作、操縦士、航空会社経営、そして華やかな社交界のスター、ハワード。これらが、ゴチャゴチャっと進行する。映画ファンには、当時のスターの登場がたまらない。特にキャサリン・ヘプバーンを演じたケイト・ブランシェットは見ものだ。航空ファンには試作機の登場に目がくぎづけになるんだと思う。テストパイロットをハワード自らがやっているのに驚く。その同じ人物が航空会社買収にゴーサインを出す。とても現実の人間とは思えない。社交のクラブ・シーンもふんだんで、当時のエンターテイメントなジャズ演奏も注目だ。映画の最後は確かグレン・ミラーの曲だ。ジャズ史もきちんと追っているのだろう。
映画が面白くなるのは、第二次大戦後、ハワードの強迫性障害の症状が顕著になるあたりからだ。同時に航空会社の国際線を特定の企業(パンアメリカン航空)に独占させようとする上院議員の公聴会が開かれる。このあたりが見せ場だ。老かいな上院議員相手にもハワードはタフだ。映画を通して、こうしたタフな人間の存在がアメリカの航空機産業を発展させてのだと思えてくる。さしずめ、今ならマイクロ・ソフト社やアップル社、ヤフーやグーグルなどの創業者に共通しているのだと思った。
『アビエイター』を検索していて面白いサイトがあった。『「アビエイター」の精神病理』というんだけど、とても長くて今は少ししか読めなかった。ここを読んだら、もう一度見る気になるかもしれない。