1955年アメリカ映画。さすが、スタンリー・キューブリックとうならせる映画。キューブリック2作目、初期の作品だし、お金もかけてなさそうなのに、ドキュメインタリー・タッチでぐいぐいと進めていくテンションの高い映画だ。ついつい緊張しながら、目を離さずに見てしまった。ラストシーンは、おもわず「あ~っ」て、うなってしまう。
出所したジョニー(スターリング・ヘイドン)が仲間を集めて、競馬場の売り上げ金を強奪するストーリー。周到な計画のもと、映画は小気味よいテンポで展開していく。スターリング・ヘイドンの無駄口のないクールな悪(ワル)がとてもいい。彼の情婦フェイ(コリーン・グレイ)はあまり出番はないが、ヘアー、メイク、ファッションが典型的な50年代風美女。そして50年代はジャズの時代だった。55年というとビバップからハード・バップへジャズが進化していく頃。
オール白人キャストの映像、そのバックの随所に黒人のジャズが流れるというある種の落差が見事。スイング・ジャズじゃない。黒人のハードバップだ。ジャズのこの使われ方を見て、ジャズがワルの音楽だったことを再認識。ワルの映画にジャズは欠かせなかった。