アマチェム星のセーメ / ロベルト・ピウミーニ作の児童文学

アマチェム星では、泉からわき出た水が川になり、川は低い所から高い所に流れて盛り上がり山を形作っている。水の山には魚が泳いでいるが、水から出てひれが翼となって、空を飛ぶこともできる。鳥魚という。木々には根っこがなくて天空に浮かんでいる。その木の枝をすみかに暮らしているのがアマチェム人だ。人間との違い多々あるが、一番の違いは頭に髪の毛がなくて、赤くて動く雲をのせているが、それは彼らの「こころ」だ。という具合に、アマチェム星はとてもシュールな世界だ。

この小説の主人公はセーメという名のアマチェム人。彼は、アマチェム星を後にして、広い宇宙に旅立つ。彼は宇宙で、さまざまな星とそこに住む人に出会う。どれもこれも想像力を刺激する奇抜な星や人たちだ。セーメはアマチェム星に留まって、人生を送るわけでなく、宇宙を旅する傍観者なので、本書を小説と呼べるかどうか疑問なところもある。詩と小説の間にある、と言った方がいいかもしれない。いや、それ以上にシュールレアリズムの絵画を見ていると言った方が当たっているかもしれない。文学というなら、とても乾いた文学だと思う。

表紙の絵が素晴らしい。中の挿絵もなかなかのものだ。「イタリアからのおくりもの――5つのちいさなファンタジア」というシリーズ名で出版されたもの。以下に資料をメモっておく。

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カテゴリー: 読書