NHK衛星放送で見る。1936年作品。一緒に暮らし、祇園で芸者をやっている姉妹の話だ。いつまでもしがない自前芸者である姉のことを、妹ははがゆくてしかたがない。しっかり者で次々と男達を手玉に取る妹を山田五十鈴が憎たらしいほど、好演している。しかし、この頃の山田五十鈴なら成瀬巳喜男監督の「鶴八鶴次郎」(1938)の方が好きだ。そこではプロの三味線弾きを演じていた。
こんなもんかいな・・・とあきれる程、京都の大店の旦那衆が若い芸者に手玉に取られていく、ちょっと不自然だよ、と言いたくもなる。姉は情にもろくて、何事もわりきる妹に「それは世間で通らない・・・」といつも、いつも、さとすのだが、もちろん妹は聞く耳を持たない。芸者という、職業そのものの理不尽を意識しつつも、その中で生きていくしかないのなら、男を踏み台にすると意を決する。しかし、映画の幕切れは、それが負け犬の遠吠えのように見える。世間をものともせず、たくましく、前へ進む妹の姿で終わってほしかった。