とても美しく、まるで美術書の趣きのある絵本だ。贅沢でもある。豪華という意味ではない。磨き抜かれた洗練がほとばしり出てくる感じだ。絵、レイアウト、タイポグラフィー、印刷等々から漂ってくるものがすごく洗練されていて、豪華と感じさせる絵本に仕上がっている。絵本には珍しくボドニー書体で組版されている。上品な書体が上品にレイアウトされている。絵はもちろん明るくて上品。ツヴェルガー独特の初期の暗さはない。ぼくはこの原画を2002年の末の京都でのツヴェルガーで見ている。原画の前に立つと、驚くほどの遠近感に圧倒された。残念だがそれは絵本においては希薄になる。
NOAH’S ARK
Illustrated by Lisbeth Zwerger
Adapted by Heinz Janisch
Translated by Rosemary Lanning
North-South Books New York / London
1997