「くるみ割り人形」で検索すると同じツヴェルガーでも表紙の違うものが出てくる。画風から判断すると最近のものだろうか。ぼくの見ているのは1978年の初期のもの。初期のツヴェルガー独特の暗い絵だ。「くるみ割り人形」はチャイコフスキーのバレーが有名でタイトルだけは知っている。でも、内容は全く知らなかった。本書の絵を眺めていて、ホフマンの物語を読みたくなった。種村季弘訳の「くるみ割り人形とねずみのお王様」を読みながら、ツヴェルガーの絵を眺めて物語の世界を堪能した。
内容は、クリスマスとかくるみ割り人形などのキーワードからは想像できない深い幻想の世界であることに驚いた。ツヴェルガーの描く少女はここでも冴えている。けがをした主人公マリーがドロッセルマイヤーおじさんのお話をベッドの中でほほヅエを付いているポーズ。美しく変身したピルリパート姫の優雅さ。物語の最後、ドロッセルマイヤーくんに対面するマリーの放心・・・などなど、いつまでも見ていても見飽きることはない。
本書の表紙と中のページを1点だがChildscapes.com の Lizbeth Zwerger ページで見ることができる。