リスベート・ツヴェルガーの妖しい絵本/ばらになった王子

【ドイツ後期ロマン派の詩人クレメンス・ブレンターノ(1778-1842)は、17世紀にナポリの作家バシーレが集めた民話集〈ペンタメローネ〉を下じきにして、〈イタリア風メルヒェン〉とよびならわされる一連の作品を書きましたが、この『ばらになった王子』も、そのうちの一篇です。】訳者あとがきより。
表紙の絵が素晴らしい。姫君が一株のバラの上を飛び越えている。バラは姫に求婚を断られてバラに姿を変えた王子だ。バラに目のない姫は魔女からのこの苗木を買ったのだ。購入の条件のひとつがバラを飛び越すことだった。もちろん、姫はこれが王子であることを知らない。この話は、この姫の子である姫のそのまた小さな王子が語ったことになっている。という妖しい物語が、初期のツヴェルガー特有の妖しい画風によって表現されている。

なお、図のようにアマゾンで扱っている(品切れだが)原書のドイツ語版は縦長のとてもおしゃれな形の大型絵本だ。余白をたっぷりと取って、絵が上品にレイアウトされている。日本語版は小型になり、正方形に近い横長になる。

ばらになった王子
絵 リスベート・ツヴェルガー(Lisbeth Zwerger)1978
文 クレメンス・ブレンターノ
発行 1983年 冨山房
翻訳 池田香代子

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カテゴリー: 絵本