春の陽気の日曜午後、デンタルクリニックの検診を終わって、ブラリと立売堀を散歩した。街はとても静かだ。
大阪市西区立売堀は工具問屋の街。「いたちぼり」と読む。ぼくは70年代後半にこの街と接する新町に写植事務所を構えたので、立売堀を日常的に見てきた。90年代初頭までのバブル景気の頃は勢いのある街だったが、景気が後退してからは、古い問屋社屋や鋼材倉庫跡がマンションに変わっていった。それは今でも続いている。古い問屋は表通りの間口は狭くても、奥行きはびっくりするほど長い。その跡がそのままカフェや雑貨ショップなどに利用されたりもするが、陰気な街では撤退するカフェもある。