ここんとこ、ソウル・ジャズにはまっている。とくにギターのグラント・グリーンを軸にして聞いている。先日聞いていたルー・ドナルドソンの『Here ‘Tis』には、ドナルドソンの風格と重みを感じたが、このベイビー・フェイス・ウィレットの『Face To Face』は、R&Bで鍛えられた若いメンバーのアグレッシブなプレイが魅力だ。
若いといっても、ライナーからウィレットのキャリアを読むと言葉が出ない。10代の後半からプロのピアニストとしてR&Bやゴスペルのグループで活動を開始。それから、15年間、アメリカ全土はもちろんキューバ、カナダなど、演奏旅行を転々している。途中、オルガンに転向し、1960年にニューヨークに着く。さまざまなジャムセッションに参加してルー・ドナルドソンとも競演する。
そのドナルドソンから声が掛かって『Here ‘Tis』のセッションに参加。そのセッションにはグラント・グリーンも参加している。ドナルドソンはセントルイスで活動しているグリーンを見つけ、ニューヨークに出ることをすすめている。『Here ‘Tis』をきっかけに、グラント・グリーンの『Grant’s First Stand』とこの『Face To Face』が生まれる。ジャズを時系列を気にしながら聞いていると、サウンドの向こうに人の出会いが見えるくる。これがジャズの魅力だ。
さて、このアルバムでは踊らずにいられない〈Swingin’ At Sugar Ray’s〉とソウルフルな気分がいっぱいの〈Goin’ Down〉、〈Somethin’ Strange〉が好き。特に〈Somethin’ Strange〉の内省的な気分にひきづりこまれた。この3曲はウィレットのオリジナル・ナンバー。
“Baby Face” Willette / Face To Face
BLUE NOTE 4068
“Baby Face” Willette, organ
Fred Jackson, tenor sax
Grant Green, guitar
Ben Dixon, drums
1961年1月30日録音