ヘルメ・ハイネの絵本はブタとニワトリが多い。本書はめずらしくビーバーだ。表紙のビーバーのとぼけた表情を見ているだけで、ほんわかと気持ちが緩んでくる。そのビーバーが自分のダムの中の巣で悩んでいるところから始まる。貝を見つけたんだけど、中に真珠が入っていたら・・・と思いを巡らせている。そのうちに寝てしまうが、夢の中で真珠をめぐって友達同士が疑心暗鬼に陥ってしまう。いつものおっとりとした柔らかいタッチの動物たちが、嫉妬とか邪悪な目つきで描かれるのには驚いてしまう。大変な事態に陥ってしまうが、それはあくまで、夢の中の出来事。
そんな夢に恐れおののいて、ビーバーは真珠が入っていたかもしれない貝を巣から力一杯にダムの中に放り投げてしまう。夢の中では、大粒の真珠を首に下げてたけど、笑いを誘う。他にも、絵のどこか、ちょこっとした所に笑みを誘う描写がある。ハイネの絵としては、一番好きな絵本かな。
The Pearl
Helme Heine, 1984