かかし / 老農夫の孤独がひしひしと伝わる絵本

街から遠く離れた農場を一人できりもりする老いた農夫の物語。家族はとうの昔に亡くなった。長年暮らした愛犬も死んでしまった。農夫は一人で生きている。ある日、うるさい鳥を追い払うために「かかし」を作ってトウモロコシ畑の横に立てる。夕食後、家のポーチからそのかかしを眺めていると、どうにも納まりが悪い。で、頭を作ってやる。

風が吹いて、中味のワラが飛ぶんで、軍手と靴を。カンカン照りなもんで、帽子を。そんな具合でかかしはだんだんと様になっていく。そして、農夫もかかしに話しかけることが多くなる。アメリカの平原の畑の風景が独特のタッチで描かれている。農夫の孤独がひしひしと伝わってくる印象深い絵。

ある日、少年が仕事を求めてやってくる。ほんわかと温かい物語。

かかし
The Scarebird by Sid Fleischman, illustrated by Peter Sis

著者 シド・フライシュマン(Copyright 1987 by Sid Fleischman Inc.)
絵 ピーター・シス(Copyright 1988 by Peter Sis)
訳 小池昌代
発行 ゴブリン書房、2007年4月

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カテゴリー: 絵本