2003年、フランス、イギリス映画。
ロザンナ・アークエット監督のドキュメタリー映画『デブラ・ウィンガーを探して』の中で、出演している女優たちが口々にシャーロット・ランプリングを賞賛しているシーンがあったはずだ。それは彼女の最新作を話題にしてのことだった。その最新作というのを見たいものだと思ったが、それは何年も前のことだ。それは、『スイミング・プール』のことだと思っていたが、製作年を見てたら、つじつまが合わない。『デブラ・ウィンガーを探して』は2002年製作だから、話題にしていたのは、オゾン監督による2001年の『まぼろし』の方に違いない。『デブラ・ウィンガーを探して』には、シャーロット本人も少しだけ出ていたが、存在感が格の違いを見せつけていた。いまだに、美しいシャーロットに驚いたものだった。
本作『スイミング・プール』のシャーロットは美しくない役を作っている。イギリス人の人気女流ミステリー作家サラという、カサカサして潤いのない中年女を演じている。サラが南仏の別荘に滞在するが、ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)と同居することになる。性に自由奔放な若く美しいジェリーとの同居が、このうえもない緊張感で見る者をスクリーンに釘付けにする。この緊張感って、ちょっとない映画の歓びだ。しかし、ラストシーンで謎が明かされるや、緊張が弛緩するけだるさに支配され、意識は映画の中をしばし漂い、すぐには現実にもどることができなかった。
ジュリー役のリュディヴィーヌ・サニエは『8人の女たち』では、一番若い次女を演じていた。シャーロット・ランプリングとリュディヴィーヌ・サニエの二人だけの息詰まる映画だ。オゾン監督はほんとにすごいわ。