伊藤計劃の『虐殺器官』を読んでる

gyakusatu

伊藤計劃の『虐殺器官』を読んでるけど、

>音は視覚と異なり、魂にじかに触れてくる。音楽は心を強姦する。

という文に出会って強く共感している。この会話はプラハのクラブのフロアでのものだから余計にそそられた。『虐殺器官』は何ヶ月も前のクラブパーティで『攻殻機動隊』ファンのフロア友だちから勧められた。直感的に面白そうだと思ったのですぐに電子本を買った。買ったものの他に読みかけの本が何冊もあったので放置していたが最近読み始めたんだ。『虐殺器官』の主人公クラヴィスもまた、『攻殻機動隊』の草薙素子同様に暗殺が仕事の国家公務員だ。しかし愛国者ではなさそうだ。

>音楽は心を強姦する・・・

12月の3つのDJパーティの興奮を説明するとしたら、まさにこの言葉だと思った。12/19のパーティ “マタンゴ” のCMT12/22の “CHAOS” の Fumiya Tanaka のDJにディストピアへ向かう予兆を感じてぼくは音楽に深く共感していた。CMTのはそのパーティのコンセプトから期待された音でぼくは嬉しくて踊り続けた、後者はこれまでの“CHAOS”でぼくが聞かれなかった音で、ぼくは長く続くFumiya TanakaのDJが続く間、帰ることができなかった。疲れて椅子に座ると寝落ちたが、すぐにディストピア的なビートに鼓舞されてゾンビのように跳ね起きてフロアに立った。頻繁にスモークがたかれるフロアは常にモヤって、ダンサーたちのシルエットはゾンビの群れのように浮かび上がった。

3つ目は、12/30の”DJ NOBU-OPEN TO LAST-“で8時間のロングプレイだった。スタートして間もないフロアに立ったが、ビートのない音が続いていた。そして、ただならぬ気配を撒き散らしつつビートが鼓動し始めた時、音楽はまさに魂にじかに触れていたんだと思う。それからは様々なビートが変化しつつ永遠に流れ続けるようだった。複雑に絡み合うビート、あるいはレイヤーを構成するビート。その中でぼくは、音の海に浮遊するクラゲのようだった。電子情報の海に漂う不安と恐怖を想起させられる極めて”今”を感じる音だと思った。