飼い猫が死んだのは13年前の今頃

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飼い猫が2000年のバレンタインデーに19才で死んだ。だから、バレンタインデーというといつも飼い猫の死んだ日を思い出す。その日、ぼくは専属外部スタッフとして働いていたデザイン事務所から仕事を持って地下鉄の最終で帰宅した。飼い猫はその夜が峠だと想像がついていた。徹夜で仕事をしながら飼い猫を見ていた。猫はお気に入りの猫用ベッドで静かにしていた。日付が15日になった3時頃、台所でお茶の支度をしていたカミさんをかぼそい声で呼んでいる。もどってきたカミさんが猫を抱きかかえると、一声鳴いて、身体を一瞬弓なりにして絶命した。その様子をぼくはカミさんの横に座って見ていた。ちょうど、13年前の今頃の時間だった。

可愛げのない猫で、抱かれるのがいや、ヒザにのってくることもない。布団の中にも入ってこない。それなのに、ある年の冬、インフルエンザにかかったカミさんが
1週間ほど寝込んでしまった。その時猫はずっとカミさんの布団に入って添い寝をしていた。あれには驚いた。

写真はクマのぬいぐるみを膝枕に和んでいる在りし日の飼い猫。男の子の猫は女の子のこのクマと何年も何年も仲良く過ごしていた。ぼくたち夫婦は二人とも昼間は部屋を空けるので、寂しかろうとカミさんが猫のために買ってやったものだ。ときには鼻先にちゅんとキスをしていた。