1988年作品。最初はテレビ放映で見た。十年以上前だと思うが一時、ケーブルテレビと契約していたことがあった。そのときにこの『嵐が丘』と広島の原爆をテーマにした『鏡の女たち』を見た。多分吉田監督の特集でもあったのかもしれない。もしそうなら他の作品もぜひ見ておきたかった。
『嵐が丘』と『鏡の女たち』はとても印象深い映画で、忘れられない作品となった。今回、改めてDVDで見たが、やはり素晴らしかった。凝りに凝った映像はどのカットを取っても美しくて何度も見たくなる。
吉田監督の作品はエミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』(1847年)を日本の中世にして映画化したもの。アンドレ・テシネ監督の『ブロンテ姉妹』を見て、イザベル・アジャーニの演じるエミリーに強くひかれた。それで小説『嵐が丘』を読み始めるが挫折。しかし、詩集には心打たれた。
映画を見て、鬼丸(松田優作)と絹(田中裕子)の生半可じゃない愛憎の物語であることが分かった。演出が能の舞のようであり、愛憎といってもドロドロした画面になっていない。エミリーの小説も詩も読みたくなった。