“All the World” 家族愛いっぱいの絵本

All the WorldLiz Garton Scanlon (Author), Marla Frazee (Illustrator)
Beach Lane Books; 1St Edition edition (September 8, 2009)

あふれるような愛がいっぱいの絵本。いかにもアメリカという感じ。
男の子と女の子の幼い兄妹が海岸で砂遊びをしている。父さんと母さんが、さあ帰ろうと言っている。ロンゲにヒゲの父さんはサーファー。止めてあるピックアップの荷台にサーフボードが見えている。母さんはどことなくヒッピーの痕跡を今に残している。いかにもカリフォルニアな人たち。

イラストレイターの Marle Frazee はカリフォルニアのパサデナに住んでと紹介されている。この絵本の風景はすべてカリフォルニアなんだろう。ちなみに作者の Liz Garton Scanlon はテキサスのオースティンとある。

砂遊びの海岸から帰途につくピックアップだが、大型絵本の見開き一杯に海岸の全景が広がる。うわァ~と声をあげたくなるぐらいにいい感じ。目を凝らすと、兄妹の作っていた砂の城が波に飲まれようとしている。一家がこれから向かうガーデン青空市場が片隅に小さく描かれている。丘の上のピンクの家では、本書の各ページに登場する二人の婦人が、二人乗り自転車に歩み寄っている。

一家は市で花を買い、水遊び中に豪雨に合い、レストランで食事。暗くなって、この絵本に登場する人たちの多くが海岸沿いの一軒家に集まっている。サーファーの父さんがピアノを弾いている。ハープ、ヴァイオリン。小さな内輪の音楽会。熱心に耳を傾ける若い子たち、年寄りがいて、赤ん坊がいる。

満ちあふれる愛と平和。これは現実なのかな・・・、絵に描いたもちかな・・・。

昨夜はNHKの番組「消えた高齢者”無縁社会”の闇」を見た。今、ミイラ化、白骨化した高齢者の相次ぐ発見が話題になっているが、高齢者の取材を通して無縁化する高齢者の実態を追ったドキュメンタリーだ。きつい内容で暗くなった。寝る前に絵本”All the World”に見入ってしまった。

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カテゴリー: 絵本