オルランドを演じた主演のティルダ・スウィントンが素晴らしい。原作はヴァージニア・ウルフの『オーランドー』。この作品をほんとうに楽しもうとしたら、原作はもちろん、作家ヴァージニア・ウルフのことも知っていなければならないと思う。ぼくはこの点で失格、何も読んでいない。ただ、スティーブン・ダルドリー監督の映画『めぐりあう時間たち』は見ている。ヴァージニア・ウルフの小説『ダロウェイ夫人』をモチーフとした映画でとても衝撃的な作品だった。『オルランド』もある意味衝撃的な作品だった。小説などの教養がなくても主演のティルダ・スウィントンの中性的な妖しい魅力に浸るだけでも価値ある映画だと思う。
オルランドは16世紀末のイングランドに生まれた貴公子で、エリザベス1世に寵愛される。女王から永遠の若さと引き換えに屋敷を与えられる。オルランドはその通りの人生を歩んで、映画のラストシーンは400年後の若いオルランドがバイクにまたがり、サイドカーには娘を乗せている。
オルランドは途中から女性に変わるが、エリザベス1世時代の貴公子の美しさがとてもいい。女王を含めた貴族たちの衣装や室内の装飾が素晴らしい。『めぐりあう時間たち』とともに今後も繰り返し見たい映画だ。