ブルーノート アルバム・カヴァー・アート

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1950年代から1960年代のモダンジャズ、特にハードバップは、ブルーノート、プレスティジ、そしてリバーサイドの各レーベルから大量にリリースされた。その中でも、ブルーノートは特別な存在だった。ぼくは60年代の始め、十代の終わりからモダンジャズを聞き始めた。それまでは、アメリカのポップスをラジオで聞いて、たまに45回転のドーナツ盤を買っていた。それが、モダンジャズとなるとLPレコードの世界で、ドーナツ盤よりはるかに大きなアルバムジャケットは大人の世界だった。

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そしてブルーノートだが、当時は日本盤が出ていなかったように思う。日本盤より高い輸入盤だったが、ブルーノートのジャケットデザインは他社にない気品とモダンな感覚に満ちていて、特別な存在だった。しかし、当時はジャズ・ミュージシャンの名前を覚えるのが一生懸命でデザイナー、リード・マイルスの名前を知るのはずっと後になってからだった。

ブルーノートのジャケット・デザインは確かにマイルスだが、その根底にはオーナー、アルフレッド・ライオンの美意識が反映しているという。ライオンはドイツ人がだ、渡米以前の1920年代はバウハウスに傾倒するベルリンの美術青年だったという。うん、なるほどと思う。

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アルフレッド・ライオンの美意識、フランシス・ウルフの写真、そしてリード・マイルスのグラフィック・デザインがブルーノート独特のデザインを作りだしているんだと思う。写真とタイポグラフィーの組合せの感覚はいつまで見ていても飽きない。特にタイポグラフィーにおける、タイプフェイスの選定、レタースペーシングとカーニングは絶妙だ。アルバムタイトルを眺めていると、カッターナイフを手にカーニングの調整を行っているマイルスのタイポグラフィーに対する執着振りが感じられる。

しかし、これらは本書の原寸大のデザインを見ていて感じること。ぼくはLPジャケットを手放して何十年もたつ、今はCDジャケットばかりだが、これではタイポグラフィーのこだわりを知ることはできないと思った。本書には、かなりの数のジャケットが原寸で紹介されている。

ブルーノート アルバム・カヴァー・アート
編者 グラハム・マーシュ他
訳者 行方 均
発行 美術出版社、1991年12月

現在の版は表紙が違っているようだが、内容は同じだろう。

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カテゴリー: Design