ブロードウェイのバークレー夫妻 / フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース主演の最後の作品

1949年アメリカ映画、チャールズ・ウォルターズ監督。アステア、ロジャースのコンビによる主演作品の10作目で最後の作品。そしてMGMでの最初で最後のコンビ主演作。過去のRKO映画は全て白黒映画だったが、これはカラー作品。初めて見るアステア・ロジャースのカラースクリーンはなかなか感動的。カメラワークも凝っている。踊りの振り付けも凝っている。脇役だってRKOとは随分と違う。ストーリーも似ているようで、やっぱり凝っている。つまり、なにから何までRKO映画とは違う。

RKO映画最後の作品から9年が経っている。なので、あの流れるようなエレガントな二人のダンスシーンはもうない。それを補うように、MGMの制作費で凝ったエンターテイメント映画になっている。といってもアステアの他の映画、ジュディ・ガーランドやシド・チャリッシを相手役にした作品とは違う。ジンジャー・ロジャースとのコンビはここでもひと味違うところを見せている。

二人は、夫婦そろってのミュージカル・スターを演じている。仲の良い夫婦だし、そう世間から見られているが、実はけんかも耐えなくて関係者泣かせという設定。妻はミュージカル・スターであることに満足していない。そこへ二枚目の演出家が現れて、悲劇女優への道を勧められたから、もういちころだ。これが発端でけんか別れをしてしまうが、最後は夫の自分への思いやりを知って仲直りをするといういつものハッピーエンド。

アステア、ロジャースのコンビのRKO映画をたくさん見ていると、この二人の夫婦の設定がピッタリに感じられる。実際に、ロジャースは非ミュージカル映画の正統派女優をめざした。コンビ最後のRKO作品が『カッスル夫妻』(1939年)の後、40年の『恋愛手帖』ではアカデミー主演女優賞を受賞している。こんなことを知って見ていると、よけいに楽しく笑えるロマンチック・ミュージカル映画だ。アステアの普段着スーツもとても良い。

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カテゴリー: Movie