ルイーザ・メイとソローさんのフルート / 「若草物語」と「森の生活」の作者たちの絵本

ルイーザ・メイ・オールコットは南北戦争時代を舞台にした四人姉妹の物語『若草物語』の作者。ヘンリー・デイヴィッド・ソローはたった一人でシンプルに森の中で暮らした経験から生まれた『森の生活』の作者。

ルイーザ・メイが7才のとき、青年のソローに出会い、彼の影響を受けて8才で最初の詩を書くまでのストーリー。二人がそれぞれの著作で有名になるのは、この絵本で描かれた頃より、ずっと後のこと。

ルイーザ・メイは変人扱いをされているソローに出会って、圧倒的な影響下にあった父とは違う価値観をソローに見つけて、惹かれてゆく。8才のとき、「氷の下の魚のように、ルーイの中に閉じこめられていた、ことば」が花開く。それは、春の雪解けの日に突然やってくる。

本書は幼い子に創作の衝動を後押しすることがあるかもしれない。でも、それにしては、絵がとても地味で残念だ。むしろ、かつて創作の夢を抱きながら実現できなかった大人が、ほろ苦い思い出に浸る絵本と言った方が当たっているかもしれない。

ルイーザ・メイとソローさんのフルート
作 ジュリー・ダンラップ、メアリベス・ロルビエッキ
絵 メアリー・アゼアリアン
訳 長田弘
発行 BL出版、2006年5月

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カテゴリー: 絵本