マーガレット・ワイズ・ブラウン作、バーバラ・クーニー絵の絵本 / ちいさなもみのき

昨日は、同じ題名のファビエンヌ・ムニエの絵本を見ていた。そしたら、バーバラ・クーニーの1954年と初期の頃の本書『ちいさなもみのき』があることを思い出した。ストーリーは別なのだが、明らかに、ファビエンヌ・ムニエはマーガレット・ワイズ・ブラウンのストーリーにヒントを得ているに違いない。本書ももちろん、クリスマスもの。

父親が病気で外に出ることのできない息子のために、森のはずれの一本のもみの木を掘り起こす。息子の部屋のクリスマス・ツリーになって、春になると、父親は元のところにもみの木を植え直す。そんなことを何年か繰り返しているうちに、もみの木は少年の部屋でクリスマス・ツリーになることを心待ちにする。ところが、ある冬のこと、父親はいつまでたっても掘り起こしに来ない。もう、もみの木にとってはクリスマスなしでは考えられなくて、哀しんでいると、子どもたちの歌声が聞こえてくる。かれらの先頭に立ってカンテラを持っているのはあの病気だった少年だ。子どもたちはもみの木に飾り付けをして、歌を唄うのだった。鳥たちのために餌になる、木の実やクッキーで飾り立てたので、もみの木は子どもたちが帰った後も、一人ぼっちでは、ないという、古典的に暖かい物語。バーバラ・クーニーの絵は初期の単純化された可愛らしいものだ。

ちいさなもみのき
作 マーガレット・ワイズ・ブラウン
絵 バーバラ・クーニー
訳 上條由美子
発行 福音館書店、1993年10月

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カテゴリー: 絵本