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ネヴィル・ブロディ編集・デザイン(ギンザ・グラフィック・ギャラリー、2009年1月発行)
小型の作品集で、1981年から2008年までの約60点が1ページに1点づつ掲載されている。ネヴィル・ブロディの作品集は、これまで『THE GRAPHIC LANGUAGE OF NEVILLE BRODY』(1988年)と『THE GRAPHIC LANGUAGE OF NEVILLE BRODY 2』(1994年)の2冊を見ている。過去のこれらの作品集で見たものがたくさん収録されているが、2000年代の作品はずいぶんと作風が変わっていて興味をひかれた。
しかしなによりも、巻頭のエイドリアン・ショーネシーの「ネヴェル・ブロディ一-モダン・イデオローグ」を興味深く読んだ。わずか2ページの短いものだ。以下に少しだけ引用。
コマーシャルカルチャーに喜んで隷属するデザイナーが多いなか、ブロディは青春時代の過激な政治的信念を捨てていない。
ブロディの感性は、マーガレット・サッチャーが首相の座に着いたあとの反権威主義的な時代の空気のなかで形成された。
過激な政治的信念が何を指すのか、本書では説明がないので分からない。サッチャー首相が誕生するのは1979年。パンクロックの象徴的なグループのセックス・ピストルズは1978年に解散しているが、79年から80年代初期は、パンクロックとそれに続くニューウェイブが加熱していた。ブロディの青春はそんな時代だったんだ。
『THE GRAPHIC LANGUAGE OF NEVILLE BRODY』(1988年)には、レコードジャケットやビデオパッケージのデザインがたくさん掲載されている。そのなかでも、THROBBING GRISTLE や CABARET VOLTAIRE などはぼくも当時聞いていた。とてもアヴァンギャルドなロックだった。THE VELVET UNDERGROUND の本のカヴァーデザインもある。これらの作品から「青春時代の過激な政治的信念」というものがおぼろげに想像できる。