どいかやの絵本に出会ったのは『やまねのネンネ』(2002年)が最初。ヤマネは山林に住むネズミに似た小動物。ころころとまるまって冬眠している姿がほんと、可愛かった。
本書は山の途中の小さな家の裏山と斜面に囲まれた小さな庭の1年を描いたもの。そ、鈴木まもるの絵本『ぼくの鳥の巣絵日記』と同じコンセプトで描かれた絵本。『ぼくの鳥の巣絵日記』は厳密な定点観察だったけれど、この『ハーニャの庭』の視点は少し変化がある。一家には父さんと母さんと幼い女の子がいる。そしてハーニャというメスの飼い猫が画面のどこかに必ず描かれている。
ある日、チャトラのオスの迷いネコが現れ、ハーニャと仲良くなる。ハーニャは3匹の子ネコを育てる。庭にはニワトリのつがいも飼う。少し離れたお隣さんの2匹の飼い犬もしばしば庭にやって来る。
やって来る動物はそれだけではない。裏山からシカが横切ったり、イノシシの親子が近くまでやって来る。野うさぎやリスは庭の中でえさ取りの忙しい。渡り鳥もやってくる。その他、カエルや昆虫は庭に住みついている。一家は自然の中の一画をひと時、庭にしたけれど、長い里山の自然の中ではとても短い時間だ。どいかや独特の里山の風景と、その中の動物だちの姿がとても愛くるしい。
ハーニャの庭で
著者 どい かや
発行 偕成社、2007年4月