Max という詩を書くイヌが主人公。Max は Morris と Ida 夫妻と Stravinsky アパートで暮らしている。二人は中年手前かな・・・。Morris は婦人靴店をやってる。Idaはタンゴを習ってる。Max と夫婦の関係は、何なんだろう。イヌだから飼い主になるわけだけど、そうじゃない。詩人だから、子どもを擬人化してるんだろうか・・・。いや、違う。親子ではない。なんか、人間とイヌとのこの微妙な関係がとてもいい。
Max はパリに憧れる詩人で、詩を書くためのアトリエを持っている。アトリエを画家の Bruno とシェアしている。Bruno とは友だちだ。彼の描く絵は invisible painting って説明してるけど、どんなんだろう? アトレエで詩作している Max だが、絵と詩がページを埋める・・・なんちゅう絵本だ。
Bruno は恋をしていて、本来の絵じゃなくて恋人 Marlene の絵ばかりを描いている。彼女は重力を研究している物理学者だ。Max は Bruno とランチに行く。カフェには Marlene が待っている。そこのウエイターは建築家で、床と天井がひっくり返った家を設計している。重力の研究している Marlene は、それではスカートがめくれてしまうと、とても理論的な推察をする。Bruno はパンツをはくべきだと言う。
たくさんのアーティストやスタイリッシュな人々が登場するこの絵本はとてもニューヨークな感じだと思う。ぼくはニューヨークに行ったことはなくて、ウディ・アレン監督やスパイク・リー監督の映画から想像して言っている。しかし、この二人の監督が描くニューヨークよりも、本書のニューヨーク度は濃いと思う。それはオシャレな絵を指して言っているわけでなくて、ここに描かれた人と人とのフワフワとしていて、とらえどころのない間合いを感じて言ってるわけ。
ランチを終えてスタジオにもどると、エージェントから電話がかかって、詩集が売れたという。Maxは Morris と Ida 夫妻と別れて、憧れのパリへ旅立つ。
Max Makes a Million
Maira Kalman, 1990
Viking Pr, 1990/10