大阪西区南堀江の dddギャラリーでは「Helvetica forever : Story of a Typeface ヘルベチカ展」が開催中だが、今日18日は「ヘルベチカ展」第2回ギャラリートークがある。非常に興味があるが、翌日納品の仕事がてんてこまいでトークには行けそうにない。
講師のお二人の著書を読んでいるのでお話を聞きたかった。『タイポグラフィの読み方』(美術出版社)の小泉均さんと『欧文書体―その背景と使い方』(美術出版社)の小林章さんだ。両著とも、タイポグラフィを知る上で大きな助けになった。
そもそもタイポグラフィって、意味もよく分からないままに使っていた。お二人の本を読むと非常に奥深い言葉であることが分かる。ぼくはグラフィックデザインの専門教育を受けないままに、写植オペレーターや版下の仕事に長いこと携わった。30年前のことだが、当時は日本語で書かれたタイポグラフィの本は全くといっていいほどなかった。
写植機と書体のメーカーの「写研」が日本語組版の本を出していたのが貴重だった。でも、それはぼくが本当に欲しいときにはまだなかったし、なにより欧文書体についての知識は得られなかった。
スペーシングやカーニングはとにかく実際の印刷物を日常的に大量に見ることで、見る目を養った。日本語は新聞や雑誌の広告で勉強した。欧文は、見ていくうちに日本人の組んだものと、ヨーロッパやアメリカの印刷物では違うことに気づいた。それからは、読めないが輸入雑誌を徹底的に眺めて、欧文組版の目を養った。
文字を眺めているうちに使用される書体は代表的なものに限られることも分かってきて、書体の見分けもつくようになっていった。小林章さんの『欧文書体―その背景と使い方』を読んでいると、当時、こんな本があったらどんなに嬉しかっただろうと思い、ついつい昔のことを思い出した。