マイケル・ウィンターボトム/マット・ホワイトクロス監督『グアンタナモ、僕達が見た真実』(2006年)

マイケル・ウィンターボトム/マット・ホワイトクロス監督『グアンタナモ、僕達が見た真実』(2006年)を見た。ウィンターボトムのドキュメンタリータッチが冴える、すごい映画だ。

イギリスに住むパキスタン青年が故国パキスタンで結婚式をあげることになる。やはりイギリスに住むパキスタン人の友人たちが式への参列をかねて帰郷する。式を前に彼らは故国での休暇を楽しんでいるが、ふと立ち寄ったモスクで宗教指導者のアジ演説に触発されてアフガニスタンへの小旅行を思い立つ。軽い気持ちでアフガンへの国境を越えるが、もうそこは想像を絶する別世界で戻ることは絶望的な状況に陥る。

国境へはパキスタンから山岳地帯に入ってアフガンに至るが、風景が素晴らしい。イスラム圏の緊張で張りつめた空気がひしと伝わってくる。実際にアフガンにカメラが入っているのだろう。村々では例のブブカの女性たちが歩く。リドリー・スコット監督にもシリアやソマリアなど中東を舞台にした映画があるが、あれは北アフリカなど安全な地帯でのロケとかで、緊迫感がまるで違う。

青年たちはタリバン兵らと共に北部同盟の兵士たちに拘束されたらしい。そしてアメリカ軍に引き渡されて、キューバにあるアメリカ軍の捕虜収容所のあるグアンタナモへ。2年半を過ごして釈放されるが、そこでの捕虜への扱いのひどいことといったら、ニュースなどで少しは知っていたがとにかくすさまじい。

映画を見ながら、興奮のボルテージが上昇した。わたしたちはこの映画と無縁な世界にはいない。