野田努、三田格、松村正人、磯部涼、二木信 著(河出書房新社、2010年1月発行)
二つのトークショー、「音楽・政治・ドラッグ」(2009.10.30)と「サブカル誌ナイト」(2009.11.7)を中心として、2000年代の音楽シーンを振り返る内容。ぼくは、80年代後半から00年代前半まで音楽を聞いてなかったので、本書から得るところを期待したが、よく分からなかった。
90年代、00年代のミュージシャンやグループの名前が全くと言っていいぐらいに分からない。名前が分からないだけならいいが、シーンが分からない。例えば、「セカイ系の『最終兵器彼女』は、」なんて、全く分からない。だから、最初はほとんど飛ばし読みしてたんだ。でも、この人たちの会話にやたら「セカイ系」って言葉が出てくる。
で、このまんま、この本から離れてしまっては、何にも分からないままだよなって、思って「セカイ系」をネットで読んでたらだいぶんに分かってきた。『新世紀エヴァンゲリオン』はビデオで見ているし、下地はあったわけだ。驚いたのは、村上春樹のの『1Q84』なんかもセカイ系のくくりで説明されていることだった。
昨年、ぼくは村上春樹の余りの評判に押されるように『ねじまき鳥クロニクル』と『1Q84』を読んでいる。これらの長編を読み切ったのはストーリーのおもしろさからだったが、結局は後に余韻を残すことなく消費しただけだった。だから、もう村上作品はもう読まなくていいや、って思った。でも、なぜこれほどに評判がいいのかが分からなかった。その疑問がセカイ系をキーワードにすることで何となく分かったんだ。
ということで、本書をもう一度しっかりと読む価値があると思った。