林信吾著『ネオ階級社会を待望する人々』を読んだ

KKベストセラーズ[ベスト新書137]、2007年3月発行

ネオ階級社会を待望する人々 (ベスト新書)
林 信吾
ベストセラーズ
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ネオ階級社会とは、この格差社会においては教育環境の格差を通じて、社会的格差が世代を超えて固定化される状態を指している。日本の未来はネオ階級社会に向かうと著者は予想している。同時にそれを憂慮している。

本書は5年前の『しのびよるネオ階級社会』の続編といってもいい。両方共読むことで理解が増したと思う。この5年間の変化は、格差社会を肯定する人々が’増えたことらしい。著者は、何がなんでも平等を主張しているわけではない。結果の格差は余り問題にしていない。機会の平等こそを強く主張している。

格差を容認する人々はイギリスの階級社会を模範的と見るが、著者は、それらの人々のイギリス階級社会の理解度に疑問を抱いている。そして、日本の低所得者層の実態をも知らない人たちだとしている。だから、本書にはサラリーマン社会からマクドやコンビニの労働形態の解説があって、余り世間を知らないぼくとしては、そこのところの興味でどんどん読み進んだ。

あとがきで著者は、日本が英国型階級社会への道を歩むのではないかと懸念するようになったのは2002年頃だと書いている。ぼくは90年代後半にある大手のグラフィックデザイン会社の専属外注スタッフとして事務所に常駐するようになった。コンピュータでの作業が本格化して、作業スピードが増して、打合せや納品に掛かる時間が取れなくなったからだ。

長時間労働だったが、収入はまあまあだった。ところが2000年を過ぎたあたり、事務所に派遣会社の営業マンに来るようになった頃から、収入がどんどん下がっていった。長時間労働は同じだったが、作業単価が安くなっていったんだ。これじゃ生活できないという収入になりそうで、01年には事務所を出ることになった。

そんな2000年頃から、現在までの労働環境の変化がとてもよく分かる本だと思う。

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カテゴリー: 読書