グラント・グリーンは、ルー・ドナルドソンの『Here ‘Tis』から始まって、『Grant’s First Stand』、『Face To Face』と聞いてきた。これらはすべて、オルガンのベイビー・フェイス・ウィレットが共演している。グラント・グリーンのシングルトーンとウィレットのオルガンがとてもいい感じのソウル・ジャズを作り出していた。
グリーンの2作目のリーダーアルバム『Green Street』はギター、ベース、ドラムスのシンプルなトリオ。ファンクとかソウル・ジャズじゃなくて、ハードバップなジャズとなっている。シャープで洗練されたサウンドなんだけど、ちょっと物足りなくもある。
その中にあって、1曲目の〈No.1 Green Street〉の演奏がいちばんテンションが高くて、じっくりと聞いていると深く味わえる。2曲目にセロニアス・モンクの〈’Round About Midnight〉なんだけど・・・。モンクが演ると、50年代のハードボイルド小説の何とも言えない憂いを含んだ、切なくなるようなシーンが浮かんでくる。グリーンの弾く〈No.1 Green Street〉はあくまでもパーソナルな憂いで、モンクとはスケールが違う。でも、アドリブパートのテンションの高いところでは、ハっとするサウンドが聞ける。
Grant Green / Green Street
BLUE NOTE 4071
Grant Green, guitar
Ben Tucker, bass
Dave Bailey, drums
1961年4月1日録音