ルー・ドナルドソン / Here ‘Tis

Here 'Tisドナルドソンのオリジナル・ナンバー、〈Here ‘Tis〉と〈Walk Wid Me〉がムチャ素晴らしい。ソウルフルなグルーブがたまならい。気持ちがズブズブに入ってしまう・・・なんのこっちゃ!

こういうのをソウル・ジャズというのかな。ジャズ・ファンクとどう違うんか・・・よく分からないが、根っこにはR&B(リズム・アンド・ブルース)があるんだろう。ぼくは長いことR&Bなジャズを避けていた。クリント・イーストウッドがチャーリー・パーカーを描いた映画『バード』なんかでも、R&Bを否定的に見ていた。ビ・バップからハード・バップの流れの中でジャズを楽しんでいるジャズ・ファンの多くはR&Bに対して否定的な見方をする。ぼくもその一人だった。

年代を追ってジャズを聞いているとすぐに気づくが、このアルバムが録音された、50年代末から60年代始めにかけて、ジャズはすごく変化していく。当時の現場はどんなんだったんだろう。思いを馳せるととてもエキサイティングな時代だったことが想像できる。

ルー・ドナルドソンは52年のセロニアス・モンク、54年のアート・ブレーキの『A Night At Birdland』なんかに参加している。ビ・バップからハードバップの現場に身をおきつつ、50年代末からソウルフルなジャズに変化する。この『Here ‘Tis』はニュー・フェイス、オルガンのベイビー・フェイス・ウィレットとギターのグラント・グリーンをグループに入れて行ったドナルドソンのソウル・ジャズへの本格的な始動だと思う。

ドナルドソンのオリジナル・ナンバーからもう1曲、〈Watusi Jump〉は最初にあげた2曲とは全く違う。これはステップを踏みながら聞かないことには、良さは分からない。

Lou Donaldson / Here ‘Tis
BLUE NOTE 4066

Lou Donaldson, alto sax
Grant Green, guitar
‘Baby Face’ Willette, organ
Dave Bailey, drums
1961年1月23日録音

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カテゴリー: Jazz