Helvetica forever : Story of a Typeface ヘルベチカ展

大阪西区南堀江のdddギャラリーの「ヘルベチカ展」を見てきた。ヘルベチカは最も広く使われている活字書体。今はフォントというが・・・。20世紀半ばにスイスのハース社が Neue Haas Grotesk(ノイエハースグロテスク)という名の活字書体が原型。現在のものはハース社から権利を引きついだライノタイプ社が改良を加えて Neue Helvetica シリーズとして出ている。

そのヘルベチカ書体を使用したデザインのポスターと商品が主な展示。普段見ることのできないヨーロッパの欧文書体見本書籍もあった。ぼくはどちらかというと、ヘルベチカより、Univers(ユニバース)の方が好き。ヘルベチカって、整いすぎていて、個性が希薄だ。だから、これだけたくさん使用されているのだと思う。しかし、日本語と自然に混じり合うのはユニバースの方だよナ。

興味をひかれなかったヘルベチカ展だが、会場の端っこに鉛筆による手書きの原画が数点あった。ガラスケースの中に数点置かれているので、かなり近づいて見ることができる。これはすごい。A4ぐらいの用紙に一文字づつ、e、2、S、M、G などだ。
鉛筆によるラインの美しいことといったらない。思わず、生つばを飲み込む美しさだ。直線が交差する部分ははみ出しているが、曲線は見事なまでに自然につながっている。消し跡も残っている。現場の緊迫感が伝わってくる。

ベテランの職人たちが直線定規と雲形定規で描いたものだという説明があった。これがどんなに美しくても決してアート的な美ではない。人の手になるものだけど、限りなく”自然” なんだ。ある意味、別な意味ですごい美だを感じることができる。

原画は写植機用のものだという。ぼくが1970年代に使ったのがライノタイプ社の写植機だと思う。活字は幅5~6センチの長い帯状になっている。それを左右のハンドルをまわすことで任意のアルファベットを一文字づつ露光する。そんなマシンだった。大掛かりなディスプレイなどをシルクスクリーンで行っている会社のデザイン室に勤務していた時だった。

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カテゴリー: Design