ルー・リード / ロックンロール・ハート

ルー・リード:ロックンロール・ハート [DVD]ティモシー・グリーンフィールド・サンダース監督作品

ルー・リードを聞き始めるのは70年代の後半だった。ロンドン・パンクとニューヨーク・パンクを聞いていて、60年代のヴェルヴェット・アンダーグラウンドを知った。この映画でも、トーキング・ヘッズのデビッド・バーンとパティス・スミスがヴェルヴェットの影響を受けたと証言している。

ヴェルヴェットを聞くようになって、アンディ・ウォホールとの関係を知るようになり、急速にヴェルヴェットに親しみを覚えるようになった。60年代のぼくはロックは聞かず、モダン・ジャズ一辺倒だった。だからヴェルヴェットは知らなかったが、実験映画作家としてのウォホールに興味を抱いていた。その後、ウォホールのポップアートも好きになっていたので、ヴェルヴェットには特別な思いを抱いた。映画では、この当時の映像が見られのもムチャうれしかった。

そんなわけで、ルー・リードのレコードはけっこう持っていたが、あるときから聞かなくなって長い。しかし、最近はなぜかよく聞くようになった。だから、この『ロックンロール・ハート』もこの数ヶ月で3回見ている。ルーの一枚一枚のレコードの成り立ちが分かるので興味がつきない。と言っても全てのアルバムが網羅されているわけではない。ぼくもマニアと言えるレベルでないし、ルーの全てを聞いているわけでもなので、この映画ぐらいでちょうどいい。1989年の『New York』、92年の『Song for Dorella』までが取り上げられている。

2週間前に行ったクラブイベントで山塚アイのDJでルー・リードがかかった。思わずテンションが上がった。聞き慣れたメロディだったけど、そのときの曲名が思い出せなかったのでいまだにわからない。たぶん、ヴェルヴェットの2枚目のアルバム「Sweet Jane」か、『White Light/White Heat』の収録曲じゃないかと思っている。

この『White Light/White Heat』を録音するにあたって、ルーは映画の中で、すごい証言をしている。
「オーネット・コールマンやアルバート・アイラーを聞いて、ギターをサックスのように使えないか考えていた」って。
これはすごいよ。ロックミュージシャンがフリー・ジャズを聞いていたなんて想像もできなかった。コールマンとアイラーは50年代末から60年代始めにフリー・ジャズの初期のアルバムをリリースしたジャズメンだ。ぼくは60年代に入って、この二人のアルバムを聞いて強烈な印象を抱いているので、ルー・リードがますます好きになった。