シンプルなデザイン、構成のサイト制作の依頼を受けて、資料を探しているうちに著者の本に出会った。著者の本としては、本書が3冊目になる。本書からは今までになく「日本の美」を意識させられた。
本書に寄稿している前田ジョン氏は、
「日本的な「簡素さ」の文化を徹底して透察したその先、仏教の語る無の懐に、途方もなく深甚で、複雑で、意味深長な何かがある。」
と書いている。ぼくは本書が禅であり、利休の茶であり、芭蕉の俳句であるように思えた。このように言いきるほどに、禅や茶、俳句に造詣があるわけではないのでで少し恥ずかしいが、本書から受けた印象だ。また、全ページを読破しているわけでもはないので著者が語る言葉よりも、装丁や紙、レイアウトなどから受ける印象でもある。
この本を眺めていると、過剰な装飾をそぎ落としただけでは、シンプルなデザインとは言えないことが分かった。日本の美意識をもっと、もっと持たなければならないと思った。これが難しい。
本書は2003年に出版された『デザインのデザイン』を一度解体して大幅は加筆を行ったと、著者が「はじめに」で書いている。本書が出版されるに至る経緯はその「はじめに」に詳しく書かれている。最初は英語版の『DESIGNING DESIGN』のタイトルでスイスの出版社から出て、それが翻訳されたものが本書『デザインのデザイン Special Edition』だ。『デザインのデザイン』の大幅加筆だけに留まらず、全く別な書籍として生まれ変わった印象を受ける。
著者 原研哉
発行 岩波書店、2007年10月
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