ヒキガエルとんだ大冒険 3 ウォートンのとんだクリスマス・イブ

ウォートンのとんだクリスマス・イブ (評論社の児童図書館・文学の部屋 ヒキガエルとんだ大冒険 3)ラッセル・E・エリクソン作、ローレンス・ディ・フィオリ絵の「ヒキガエルとんだ大冒険」シリーズの3作目。クリスマス・イブの日、例によって料理名人のモートンは料理作りに大忙し。クリスマス・ツリーやなんやかやとクリスマスを迎える準備はウォートンの仕事だが、それも片付いた。モートンは一人の方がはかどると、ウォートンに料理を手伝わせない。時間を持てあましたウォートンはスケート遊びのために暖かい巣穴から冬の戸外へ出て行く。

池の氷でスケート遊びを堪能して帰る頃には雪が降ってくる。途中、モグラのモンローがプレゼントやツリーを乗せたソリをヒックリ返している。ウォートンはそれを手伝うが、なんと2匹とも道に迷ってしまう。激しくなってくる雪を避けて逃げ込んだのが、大きなクマが寝ている洞窟。

そのクマを起こしてしまうが、クマは怖がる2匹を見て、上等の食料を保存しているのに、そんなまずそうな生き物は食べるつもりがない。睡眠のじゃまをしないでさっさと出ていくように言う。ヒキガエルのウォートンとモグラのモンローはクマを起こさなければいいだろうと、洞窟の入り口あたりでクリスマス・イブの覚悟をする。

それから始まるウォートンのクマに対するおせっかい、そしてクマが2匹をそれぞれの住まいに送り届けることになる展開がなんともおもしろい。クマは決して善意じゃないけど、2匹を助ける。クリスマス・イブの夜に孤独なクマの気持ちがムチャおもしろい。シリーズ第1作の『火曜日のごちそうはヒキガエル』のフクロウに通じるお話。

本文の活字も大きく、表紙や挿絵も幼児向けだし、単純なハートウォーミングのお話と決めてかかってはいけない。けっこう複雑な心理なストーリーが支えているので、読み始めるとけっこう夢中になる。

《このブログの「ヒキガエルとんだ大冒険」シリーズ》
ヒキガエルとんだ大冒険5 ウォートンとモリネズミの取引屋
ヒキガエルとんだ大冒険4 SOS!あやうし空の王さま号
ヒキガエルとんだ大冒険2 消えたモートンとんだ大そうさく
ヒキガエルとんだ大冒険 1 火曜日のごちそうはヒキガエル

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カテゴリー: 読書