CSS Niteの編集による書籍。CSS Nite のサイトで紹介しているので本書を知って読んだ。
サブタイトルにある5つのキーワードとは、ソリューション、コンテンツ、テクノロジー、サービス、プロジェクトを指している。このキーワードをテーマにした5つの座談会が収録されている。さらに、それぞれの座談会のモデレーターを努めた人による「ウェブのこれまで、ウェブのこれから」と題した座談会が加わっている。
座談会は3人から5人によるもので、「現場に関わる人間の生の声を通して、ウェブの現在と将来を論じようと試みました。」とまえがきにあるが、実際に第一線で活躍している人たちばかりで、ウェブ業界の現場がうかがえる。ぼくのようにフリーランスでウェブに関わる人間には必読書だと思う。
本書の内容は全く知らなかったことではない。薄々に感じていたことが具体的な言葉で確認できた、というのは正解かもしれない。
クライアントが以前に求めていたのは「箱」といっていいようなものという発言があった。資料をもらって、ウェブサイトというカタチにおさめていた。最近は、どーもこれだけでいいのか、という空気を僕自身が敏感に感じている。本書では「すでにあるコンテンツの箱づくりではなく、ウェブに最適なコンテンツをつくらなければならないという意識が高まってきた。」と言っている。
よく分かる。これがウェブ制作の変化だと思う。しかしこれはクライアントから資料をもらうだけという受け身のスタンスではやって行けないことを意味している。コンテンツの観点からFlashの重要性にも気づかされるところがあった。
座談会の話言葉なので分かりやすい。また、第一線の人々なのでカタカナの専門用語が頻発するが、カッコで平易な解説をしている編集が心憎い。
変革期のウェブ
著者 鷹野雅弘ほか
発行 毎日コミュニケーションズ(マイコミ新書)、2007年7月