ねぼすけ はとどけい / ルイス・スロボドキンのほのぼの絵本

スイスの山奥の小さな村の小さな時計屋さんが物語の舞台。壁一面のたくさんの「はどどけい」は正確無比に一斉に小窓からハトがでてきて時を告げる。しかし1羽だけはどうしても一分ほど遅れて小窓から出てくる。時計自体は狂っていない。ハトが遅れるだけなんだ。時計屋の主人は直さなければならないと思いながら、忙しくて一日延ばしにしている。

村の人たちは、この1個だけ遅れる時計のことを知っている。こども達も学校帰りに集まって、3時を待つ。あー、やっぱり今日もあのハトは遅れたね、と顔を見合わせてから帰るんだ。常連客も時を告げるタイミングに合わせて来店して、見届けて帰る。今日もやっぱり遅れてたよ、なんてかっこうの話題にしている。でも、他所からきた一見さんは、なんだ、狂ってるじゃないか、信用できない店だ、ということになる。

ある日、どうしてもこの時計を直さなくてはいけない事態がきた。いつも来ている子どもたちに意見をきいてみたら、ぜんまいがゆるんでるとか、ゴミがつまってるとかって男の子たち。そこへ一人の女の子がおずおずと言うには、ハトがぐっすりと眠っているんじゃないというんだ。周りはいくらなんでもなー、ってな感じ。

その夜、時計屋は何度も分解しては試すが、歯車もゼンマイも問題なし、もう対策に窮して小窓をそっと開けると、中ではハトがぐっすりと眠っている。フムフムってんで、このハトを一分前に起こす工夫をするわけ。その仕掛けを読むと、思わずにんまりしてしまう。

仕事に窮した寒い夜に、冷えた脚をストーブの前で暖めながら本書を読んで、ほんわかした。

ねぼすけ はとどけい
作 ルイス・スロボドキン((c) 1962 by Louis Slobodkin)
訳 くりやがわけいこ
発行 偕成社、2007年9月新装第1刷

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カテゴリー: 絵本