ミロスラフ・サセックの絵本『ジス・イズ・アイルランド』

最初に出て来る、緑豊かな風景はそれはそれは素晴らしい。後ろの方に載っている5枚の美しい湖の絵も素晴らしい。アイルランドは緑と湖の美しい島国であることが’分かる。冒頭、アイルランドはゲール人によって築かれたこと。後、イギリスにまで侵略したローマ帝国はアイルランドを侵略しなかったが、宣教師を派遣してキリスト教を広める。8世紀にバイキングのアイルランド襲撃、1170年、イギリスからきたノルマン人アイルランドを侵略。このときからゲール人とノルマン人の長い闘いが始まったこと。他には海外へ移住する人の多いことなど、アイルランドの基礎知識がまとめられている。

港町コーブの風景がほんと素晴らしい。しかし、なんといってもダブリンの風景とその建物の紹介が多い。地方に散在する教会やお城の描写もとてもいい。劇作家ジョージ・バーナード・ショー、作家オスカー・ワイルドのダブリンでの生家。作家ジェイムズ・ジョイスの暮らした風景。山のふもとにある詩人イエイツの墓など、じっと見入ってしまった。ロバート・J・フラハティの監督のドキュメンタリー映画の傑作『アラン』のアラン島漁民も登場。ほかの「ジス・イズ」シリーズと比べても、本書は力作。

ジス・イズ・アイルランド
原題 This is Ireland
著者 ミロスラフ・サセック(Copyright 1964 by Miroslav Sasek)
翻訳 松浦弥太郎
発行 ブルース・インターアクションズ、2005年5月

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カテゴリー: 読書